Microsoft Translator による機械翻訳のススメ
マイクロソフトの研究所で開発した機械翻訳ツールを試してみませんか?
著者: 相川孝子
機械翻訳とは、簡単に言うと、人による翻訳ではなく、ある言語のテキストデータをソフトウェアに読み込ませると、別の言語に自動的に翻訳されて出てくるシステムのことです。これは自動翻訳とも呼ばれています。国内外でさまざまな研究機関や企業が機械翻訳の開発を行っていますが、まだ完璧に他言語間の翻訳を行えるシステムは誰も完成していません。しかし、世界中どこでも通じる言語は存在しませんので、実用に耐える機械翻訳が完成した場合、世界中の人々の役に立つことは明らかです。マイクロソフトでも、基礎研究所であるMicrosoft Researchで過去数年にわたって、専任のスタッフを置いて機械翻訳の開発を行っています。
マイクロソフトでは、機械翻訳の研究の今までの成果を「Microsoft Translator」という無料の機械翻訳ツールの形で提供しています。Microsoft Translatorのエンジンは、バイリンガル パラレル コーパス データ (二言語の文章を一文ずつ対応させたデータを大量に収集したもの) を基に、統計的アルゴリズムを使い、二言語間で、どの単語がどの単語に対応するか、文章のどの部分がどの部分に対応するかを自動的に学びながら、様々なモデルを訓練してできた翻訳システムです。トレーニングに使われるバイリンガルのデータが多ければ多いほど、学ばれるパターン、語順などもよくなるというわけです。
このコラムでは、Microsoft Translator の入手方法や利用方法、便利な使い方についてご説明します。機械翻訳は、まだまだ人の手による翻訳のレベルには達していませんが、これを使うことで英語で書かれた文章やWebページのおおまかな意味をつかむことができますし、辞書を引くより簡単に単語の意味を調べることも可能です。さっそく、試しに以下の手順に従って使い始めてみませんか?
文章レベルの翻訳
英語で書かれた文章を日本語に翻訳したい場合、次の手順で簡単にできます。
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左側のテキストボックスに翻訳したい英文を入力します。キーボードから打ち込むこともできますが、ほかの場所からコピー & ペーストすると便利です。(500文字までの制限があります。)
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右下の[言語]のドロップ ダウン メニューで言語を [英語―日本語]に設定します。これは、「英語から日本語へ」という意味です。その他の言語ペア設定もできます。
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[テキストの翻訳]ボタンをクリックすると、Translatorによる日本語翻訳文が右側のテキストボックスに表示されます。
Webページにはバイリンガル ビューアー
Webページの翻訳
次に、同じ機械翻訳エンジン(機械翻訳の心臓部に当たる、言語間の単語置き換えを行うソフトウェア)を使った、Web ページの翻訳用ツールをご紹介します。このツールは例えば、英語で書かれたWeb ページの概略だけをすぐに知りたいような場合に便利です。以下の手順をお試しください。
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Microsoft Translator Webページの下の方にある[Web ページの翻訳]のボックスに、翻訳したい
Web サイトのURLを入力します。
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[言語]で言語ペアを選択してください。
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[サイトの翻訳]ボタンをクリックします。
Microsoft TranslatorでのWeb ページ翻訳
そうすると、下のように英語と日本語が並んで表示されるバイリンガル ビューアーの画面になります。このバイリンガル ビューアーでは、英文とそれに対応する日本語の翻訳文が同時にハイライト表示されるので、英文と日本語翻訳文との対応が一目瞭然です。機械翻訳ではまだ不適切な日本語に翻訳されることも多いのですが、このバイリンガル ビューアーではもとの英文と比較しながら見ることができるので、意味を把握する上で便利です。
バイリンガル ビューアーで英文と日本語翻訳文を対比
Microsoft TranslatorボタンをInternet Explorerのツールバーに追加する
「翻訳したい時にその都度MicrosoftTranslatorのWebページに行くのは、手間がかかる」という方には、TranslatorボタンをInternet Explorerツールバーにダウンロードすることをお勧めします。
ダウンロードの方法は、Windows Liveギャラリーへアクセスし、Translatorボタンをダウンロードするだけです。このボタンをダウンロードすると、下の図のようにWindows Liveツールバーの中にTranslatorボタンが追加されます。
Translatorボタンをツールバーに追加する
翻訳したいWebページにアクセスして、このボタンをクリックしてみてください。バイリンガルビューアーと同様の形で、徐々に翻訳が進んでいくのがご覧になれます。外出先でも旅行中でも、インターネットに接続されたコンピューターがあればいつでも翻訳したいWeb ページを翻訳してくれるので、とても便利です。ぜひ、Translatorボタンをツールバーに入れておいてください。
Internet Explorer 8のアクセラレータからより速く、より便利に!
Microsoft Translatorは、マイクロソフトのWebブラウザの最新バージョンであるInternet Explorer 8のアクセラレータからも使用できます。(注:このコラム執筆中の2008年12月には、Internet Explorer 8のベータ版のみが公開されています。)このアクセラレータを使うと、毎日利用しているオンラインサービスにより速く、便利にアクセスできます。アクセラレータには、検索、地図検索、電子メールなど様々な機能が含まれていますが、Translatorもその一つです。アクセラレータの詳細については、Internet Explorer 8の機能をご覧ください。
Internet Explorer 8のアクセラレータを使った翻訳
Internet Explorer 8を使って、より速く、より便利に翻訳しましょう。
TBotとは?
Microsoft TranslatorのWebページに
このようなロボットの絵がありましたね。これは一体何でしょう?
これは、「TBot」というボット(インターネット上で自動で作動するロボット プログラムのこと)です。Windows Live メッセンジャーにTbot (mtbot@hotmail.com)をメンバーとして登録すると、Translatorを使いながら、コンピューターやスマートフォンを通じていつでもどこでも友達と会話できます。
TBotの使い方は、以下のとおりです。
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TBot(mtbot@hotmail.com)をWindows Liveメッセンジャーのメンバーとして登録します。すると、下のように、TBotが メンバーとして表示されます。
TBotをWindows Live メッセンジャーのメンバーとして追加する
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クリックしてTBotを呼んでみましょう。以下のようなメッセージが表示されます。
TBotからの最初のメッセージ
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初めてTBotと会話するときは、使い方を見るために、まず「TBot ?」と入力してください。
(TBotと?の間にはスペースが必要なので、お気をつけください。)すると、下のようなメッセージが表示されます。
TBotで使われるコマンドリストを表示する
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表示されたコマンドのうちいくつかを試してみましょう。
TBot lang - 現在選択されている言語ペアを表示
TBot langと入力すると、現在選択されている言語ペアが表示されます。TBotは、開始したときは、
既定で言語ペアが「英語からスペイン語」に設定されています。
TBot change - 翻訳したい言語ペアを選択
今度は、TBot changeと入力してみましょう。このコマンドを使うと、どの言語からどの言語へ翻訳するかを指定できます。
まずは、ソース言語の選択をします。例えば、英語から日本語への翻訳の場合、ソース
言語は英語ですので、ここで12と入力します。次に、ターゲット言語に日本語を選択するために、9と入力します。
日本語から英語への翻訳の場合は、ソース言語に9と入力し、ターゲット言語に12と入力します。
言語ペアの設定が終了すると、TBotから確認のメッセージが送られてきます。
メンバー リストから友達を招待
「アメリカ人の友達と会話がしたいのだけれど、英語に自信がないから、ちょっと....」という時がありませんか?そんな時には、TBotがお手伝いできるかもしれません。
まず、上記の手順にしたがってTBotの翻訳言語ペアを「日本語から英語」に設定しておきます。
その後でメンバーリストから友達を招待し、日英の会話を開始してみてください。どれだけTBotの翻訳がうまくいくか、お友達の反応を試してみてください。
TBotと一緒に英語の練習
英語を話す友達がいなければ、TBotと英会話の練習をするのも楽しいかもしれません。Windows LiveメッセンジャーでTBotと会話セッションを始め、言語ペアの設定を例えば英語から日本語にします。そして、自分で英語でメッセージを書いてみましょう。たとえば「The translation from English to Japanese is very difficult.」と入力してみると、TBotの翻訳は、下記のようになります。
TBotからの翻訳例
Translatorボタンを自分のWebページに追加
Microsoft Translatorは、自由に個人のWebサイトからリンクできます。自分のウェブサイトを 他の国の人々にもぜひ見てほしい、という時には、とても便利です。Translatorへのリンクボタンを追加する手順は、次のとおりです。
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Microsoft Translator のWebページにアクセスして、下の方にある[サイトにTranslator (Webページの翻訳機能)を追加する]の部分をクリックします。
[サイトにTranslator (Webページの翻訳機能)を追加する]の部分をクリック
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下のページが表示されたら、言語を日本語に設定して、表示されたjavascriptを自分のWebページのコードに追加します。
Translatorを自分のWebサイトに追加する
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すると、上の青枠内にあるTranslatorボタンがあなたのWebページに現れます。
これだけで、あなたのWebページが自動で日本語から英語へと翻訳できるようになりました。
最後に
マイクロソフトでは、今後も継続して「機械翻訳の質」改善を目指し、開発を行ってまいります。今はまだまだ多くの間違いをしますが、今後少しでも人間によって翻訳されたものの品質に近づけていけるよう、努力しております。そのためにも、マイクロソフトではMicrosoft Translatorを使ったデータを少しでも多く必要としています。将来的には、皆さんからのフィードバックをいただき、それを基に性能の改善を志すつもりです。皆さんに使っていただければいただけるほど、性能が良くなっていくツールですので、気軽に使い始めてみてください。そして、少しでもお役に立つことができれば幸いです。尚、皆様のご利用およびご感想やテスト結果に関するコメントなどがありましたら、Microsoft Translator のフィードバック送信ページからお送りいただければ幸いです。
著者について
マイクロソフト コーポレーション
マイクロソフト リサーチ 機械翻訳チーム
Computational Linguist 相川孝子
アジア言語に関して、Microsoft Translatorから出される言語特有の間違いの修正、日英などのバイリンガルデータの収得、クロリティー管理など担当。自然言語処理、ターミノロジーに関する研究経験もあり。